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繋がる職人
大工 萱内さん
 ■大工職人 萱内 稔さん
地元ひたちなか市に生まれ、16歳より東京の叔父の元で修行生活を送りこの道一筋で現在53歳。「職人」という努力と忍耐があたりまえの厳しい世界に身をおきながら、そんなことを少しも感じさせない笑顔がとても印象的だ。萱内さんは、現在失われつつある日本の大工技術を現在に受け継ぐ数少ない大工さんのひとりである。

「大工」の仕事は木を「読む」ことからはじまる。性質を見極めてどの部分にどの木を使うか、どう組めば強いのかを一本ずつ確かめながら「墨付け」を行う。墨付けを行う萱内さんの頭の中にはすでに「完成した家」が描かれている。

「墨付けは真剣勝負。一瞬だって気は抜けないよね。」

迷いのない墨付けはベテラン職人だからこそできること。その墨付けをもとに一本ずつ木と対話しながら「刻み」を行う。萱内さんは、木を読んでどう刻むかという昔ながらの伝統工法を知る職人さんだ。

刻みを終えると「棟上げ」に入る。この木はそこに、あの木はここに、と大事に組み上げられて上棟式(建前)を迎える。

「建前は恐いよね。近所の人や親戚の人みんなが集まって審査するんだから、やっぱり緊張するよ。けど、この日のためにコツコツやってきたのがこの先何十年もそこにあるんだって思ったら嬉しいよね。自分でやったから木の一本一本覚えてるし、苦労した分建前の酒もうまい。」


今では行われる事が少なくなった上棟式だが、大工さんにとっては手間をかけて棟上げたものを披露できる晴れの日なのである。

鉋
無垢材の床や天井、あらわしとなる柱などは鉋で仕上げを行う。

「きちんと鉋で削ったやつは水をはじく。それを昔は米ぬかで磨いていたんだよね。歳月がいくとそれが味わい深くなる。漬け物と一緒で一軒ずつ個性があるんだよね。」

確かに、古民家などの床や柱には何ともいえない味わいがある。一本ずつ丁寧に削られたものだからこそ、手づくりのぬくもりが伝わってくる。

「モノでも何でもやっぱり人の手でできたやつはいいでしょ?機械でやったらつまらないよね。今は簡単に御飯も食べられて、何でも買える世の中になった分かえって刻みからやる家は贅沢品になっちゃったけど、全部自分の手でやれるから気合いが入るんだよなぁ。」

一軒一軒、形も違えば素材も違う。ひとつとして同じものはない。その風土にあわせて使い慣れた道具を手に素材と向き合い自分で考え工夫をする。そこには長い経験と知恵がぎっしり詰まっている。

今、均一性や効率性を追い求めて機械技術が発達した世の中において、萱内さんのように木の性質を見極め「刻み」を行う大工さん本来の技術や知恵が失われつつある。そんな日本の文化を守り、継承する目的で発足した「削ろう会」という催しがある。萱内さんもこれに参加している。「そういう時代がきたのかな…」と萱内さんは言う。一朝一夕では養えない職人さんたちの深い技術を、ぜひ後世に受け継いでもらえるよう応援していきたい。
 
萱内さん
墨付け
寸法やホゾ穴、継ぎ手の位置決めを行う「墨付け」は「刻み」の仕事に影響する大変重要な作業だ。
 
鑿
「刻み」では墨付けの線に合わせて彫ったり削ったりする。刻み方一つで仕口や継ぎ手の強度が変わってしまうほど、墨付けどおりに刻むには熟練の腕が要る。
鉋削り
削ろう会
新潟県三条市で開催された[削ろう会]鉋を手に薄さ数ミクロンの世界を目指す。
     
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